男の和服着物を少しかじり始めると、分からない事が沢山出てきます。
特に和服着物は昔の言葉が多く、意味を推測出来ない事も多いです。
多くの和服着物の初心者さんが、つまずくであろう言葉を解説していきます。
一つ一つググるのがめんどくさい時に有効ですので
一度最後までご覧下さい。
ぜひ利用してみて下さい。
ライン@のアカウント変更しました!(2021年2月13日)

大まかな要点だけなら4、ポイントをご覧下さい
1.感覚的な言葉
粋(いき)
・シンプル、さっぱりして垢ぬけた様子。
江戸の美意識を指す事が多い。
こっくり
・色合いや味などで落ち着いた深みのある様子。
はんなり
・華やかでかつ上品な様。京都の美意識を指す事が多い。
「華なり」という言葉が訛ったという説もあり。
傾く(かぶく)
・かたむけるの意味。主に王道から反し、勝手な振る舞い、奇抜な身なりをするという意味で使われる。
歌舞伎(かぶき)の原点。
わび・さび
・わびは侘しさ(わびしさ)が語源。客人を満たしつくせない事をわびる(謝る)気持ちの事。
・さびは寂しさ(さびしさ)が語源。枯れていく、時間と共に劣化していく様子を寂しく思う気持ちの事。
共に日本を代表する美意識。
風流(ふうりゅう)
・雅やかで上品な趣がある事。
雅(みやび)
・優美で煌びやか(きらびやか)な様。平安貴族的な要素を含む。
江戸風(えどふう)
・江戸の人が好みそうなスタイル、やり方。江戸前(えどまえ)とも言う。粋な感じ(シンプルな感じ)の事。
京風(きょうふう)
・京都人の好みそうなスタイル、やり方。貴族的で華やかな好み。
書生風(しょせいふう)
・明治、大正時代の学生がやっていそうなスタイル、やり方。
当時の学生はかなり優秀で一部のエリートしか高等教育を受けられなかった。アメリカでいう所のアイビーリーグ
(有名難関大学)のイメージ。
南蛮風(なんばんふう)
・貿易をしていたヨーロッパ人がしている服装や持ち込む品の趣向。
主にポルトガル人など。異国趣味。
大正ロマン(たいしょうろまん)
・大正時代に広まった考え方、風潮。ヨーロッパで起こったロマン主義という精神運動の影響をうけ、日本解釈されたもの。
『個人としての独自性の重視』など分かりにくいが、一言で言って『庶民一人一人に目を向けよう』といった感じ。
2.技術的な言葉
絣(かすり)
・織物において、縦横の糸で織り表わされた模様の事。
重なる部分を防染(ぼうせん)したり着色したりする。
更紗(さらさ)
・インドを始め、アジア大陸から輸入されたオリエンタル模様。主に植物系の模様が多い。
絞り(しぼり)
・染色手法の一つ。糸でくくり、その部分を防染(ぼうせん→染まらないように)する。
その様が絞られている様なのでこの名前になった。
友禅(ゆうぜん)
・染色手法の一つ。宮崎友禅斎(みやざきゆうぜさい)という方が糊を使って防染(染まらないように)して、
きめ細かい染めを可能にしたのが始まり。
比較的新しく、江戸時代に発明された。
京友禅染めが有名。
後練り(あとねり)
・絹織物に織り上げてから、絹の不純物を取り除いた物。
練る(ねる)とは、絹の成分から不純物を取り除く事。これにより、ゴワゴワした絹がつやつやになる。
反対の言葉で先練り(さきねり)がある。
先練り(さきねり)
・後練りの反対語。糸の状態で不純物を取り除いた物。
代表的な物は
御召(おめし→適度な光沢があるドレッシーな生地)や
大島紬(おおしまつむぎ→カジュアル着物の代表、つやつやしている)
洗い張り(あらいはり)
・和服着物の糸をほどき、反物(たんもの→巻物)状にして行う洗濯。
直接水洗いが出来、生地の奥まで汚れを取ることが出来る。
乾かした後は、仕立て直す必要がある。寸法直しの前によく行われる。
3.固有名詞
二重廻し(にじゅうまわし)・とんび
・男性用和装コートの名前。シャーロックホームズのコートというとイメージし易い。
(ただし、ホームズはインバネスコートを着用)
正確にいうと、
インバネスコートは袖のあるケープ付きコート
二重廻し(にじゅうまわし)は袖の無いケープ付きコート
とんびは袖が無く、ケープが背中部分と一体化したコート
キャラコ
・高級足袋(たび→和服着物用の靴下)に使われる木綿生地の事。
艶っとしていて丈夫。
御召(おめし)
・適度な光沢を持つドレッシーな生地。男性の和装ではフォーマル感のある素材。
御召縮緬(おめしちりめん→シボ凹凸のある着物生地)の略。
糸の状態で清錬(せいれん→絹の不純物を取り除く事)染めをしてその後生地に織り上げる。
糸にも秘密があり、縦横共に強い回転をかけた糸を使用する。
{普通の縮緬(ちりめん)は縦糸には回転をかけず、横糸にだけ交互に右回転と左回転を施す事で凹凸を出す}
その昔、11代将軍の徳川家斉(いえなり)が好んでお召し(おめし)になった事が由来。
上布(じょうふ)
・麻織物の高級版の事。新潟の越後上布(えちごじょうふ)、沖縄の宮古上布(みやこじょうふ)、八重山上布(やえやまじょうふ)が有名。
縮緬(ちりめん)
・縦糸には回転をかけず、横糸にだけ交互に右回転と左回転を施す事で凹凸を出す絹織物。
和風の生地は大体、シボと呼ばれる凹凸がある。
紬(つむぎ)
・手で紬いだ糸を使用した庶民の普段着生地。
大体、真綿糸(まわたいと→綿を撚って糸状にしたもの)で出来ている事が多い。
綴れ(つづれ)
・伝統技法の一つ。非常に高級な織物で、横糸で縦糸をつづり分け、文様を表すもの。
織物全体に横糸がゆき渡らず、文様を織り出すのに必要な部分にのみ渡る。
特徴は柄の境目に出来る隙間である把釣孔(はつりこう→穴)。
現物を見ないとおそらく分かりずらい。
羅(ら)
・夏の織物で、通気性に優れている。
もじり織(縦糸を絡み合わせた間に横糸を通す織)という手法を使っている。
編み目状になっている。
絽(ろ)
・同じく夏の織物。
主に横段に穴が開いている。
紗(しゃ)
・夏用生地。
見た目はメッシュ生地。
薄物(うすもの)
・7、8月専用の真夏の和服着物の事。
盛夏(せいか)用ともいう。基本6月や9月に薄物は着なかった(ただし、現代はルールが変わってきている)
一般的には絽(ろ→生地に小さなスキマ穴が空いた夏素材)、紗(しゃ→生地がメッシュ状になった夏素材)、麻の事。
抱き幅(だきはば)
・袖付け終わり(そでの縫い目の下)から衽線(おくみせん→着物の前面に縫い付けてある衽の縫い目)までの長さの事。
ここは上半身の見た目に関わる。
棒衿(ぼうえり)
・棒のように幅が変わらない衿の事。
男性用の衿は大体これ。(女性用の衿は広い衿を折り曲げて使ったり、バチ状に広がっている衿が主流)
鯨尺(クジラじゃく)
・和装独特の寸法単位。
1分(ぶ)=0.38㎝ 1寸(すん)=3.8㎝ 1尺(しゃく)=38㎝
クジラのひげで作られたのが由来。
献上柄(けんじょうがら)
・福岡の博多献上帯に使われる織文様の事。
独鈷柄(どっこがら)とも言う。
700年以上前から存在しており、
仏教に由来する花皿(はなざら)と独鈷(どっこ→煩悩を砕く道具)に
形が似ている事から命名されたと言われる。
4.ポイント(これだけ覚えて!)
・粋(いき)
シンプル、さっぱりして垢ぬけた様子。
・絣(かすり)
織物において、縦横の糸で織り表わされた模様の事。
・絞り(しぼり)
染色手法の一つ。糸でくくり、その部分を防染(ぼうせん→染まらないように)する。
・洗い張り(あらいはり)
和服着物の糸をほどき、反物(たんもの→巻物)状にして行う洗濯。
・御召(おめし)
適度な光沢を持つドレッシーな生地。男性の和装ではフォーマル感のある素材。
・紬(つむぎ)
手で紬いだ糸を使用した庶民の普段着生地。
・絽(ろ)
同じく夏の織物。主に横段に穴が開いている。
・紗(しゃ)
夏用生地。見た目はメッシュ生地。
・薄物(うすもの)
7、8月専用の真夏の和服着物の事。
・鯨尺(クジラじゃく)
和装独特の寸法単位。
1分(ぶ)=0.38㎝ 1寸(すん)=3.8㎝ 1尺(しゃく)=38㎝
・献上柄(けんじょうがら)
福岡の博多献上帯に使われる織文様の事。
独鈷柄(どっこがら)とも言う。
以上、男の和服着物のワードでした。
大体は難しい漢字を使い、読み方も分からない事が多いと思います。
見慣れると、意味も感覚も頭に入って来ますので
ここで軽く復習しておきましょう。
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