男性の一般的な装い、紬(つむぎ→手で紡いだ生地)。
非常にバリエーションもあり、よく使う和服着物のジャンルですね。
ここでは紬(つむぎ→手で紡いだ生地)の大まかな種類、素材の特徴を紹介していきます。
代表的な結城紬(ゆうきつむぎ)、大島紬(おおしまつむぎ)、米沢紬(よねざわつむぎ)などは覚えておくと良いと思います。
それでは見ていきましょう。
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目次
1、紬(つむぎ)の特徴と種類
特徴
紬(つむぎ)とは、手で人が紡いだ糸を使った着物です。
基本は、節(ふし→糸の凸凹)があり、通常和服着物に使わないような糸で作る事が多かったです。
紬(つむぎ)と呼ばれている物の中には、生糸(きいと→繭から直接引き抜いた糸)と呼ばれている、つやつやの糸を使って作っている物もあります。
一般的には真綿(まわた→繭をお湯の中で広げて綿状にした物)糸と呼ばれている糸で織られ、ざらざらした素朴な質感が特徴になります。
織りの和服着物という事で織りだされる柄が醍醐味となります。
種類
前提としまして、紬(つむぎ)には先染め(さきぞめ)と後染め(あとぞめ)と呼ばれている種類に大きく分かれます。
先染め(さきぞめ)
糸の段階で糸を染め、織りで柄を出す、一般的な紬(つむぎ)のイメージです。
後染め(あとぞめ)
織りあがった紬(つむぎ)の生地に柄を後から染め入れる物になります。
ここでは、一般的な先染めの紬(つむぎ)の種類について書いていきます。
大まかに分けると3種類です。
・真綿糸{綿状の繭から糸を手で紡ぎ(つむぎ)出した紡ぎ糸}による紬
(WAKATABE LTD.様より引用:https://www.wakatabe.net/18)
一般的な紬(つむぎ)のイメージ通り、表面がザラザラしており、素朴感が出ております。
非常に普段使いしやすい風合いとなっております。
例
茨城の結城紬(ゆうきつむぎ)
・玉繭(たままゆ→二匹の蚕が入っていた繭)からつむいだ節(ふし)のある玉糸で織った紬
玉繭(たままゆ)によって作られる糸は節(ふし)がはっきりとしており、非常に丈夫です。
適度な光沢もあります。
例
岐阜郡上の郡上紬(ぐじょうつむぎ)
石川の牛首紬(うしくびつむぎ)
・生糸(きいと→繭から直接引いた糸)で織った紬
(農林水産省様より引用:https://www.maff.go.jp/j/shokusan/gi_act/register/i10.html)
生糸(きいと)なのでつやつやと光沢のある素材感が特徴です。
主に平織り(ひらおり→縦横一本づつで織りあげる織り方)。
例
東京八丈島の黄八丈(きはちじょう)
鹿児島の大島紬(おおしまつむぎ)
2、産地別の紬(つむぎ)
代表的な男の紬3点をご紹介します。
結城紬(ゆうきつむぎ)
茨城県
結城市(ゆうきし)を中心に生産される紬(つむぎ)になります。
大島紬(おおしまつむぎ)と並び、非常に人気の高い紬(つむぎ)です。
その昔、常陸紬(ひたちつむぎ)と呼ばれていた物がのちに、結城氏(豪族)の保護のもとで栄えたため結城紬という名前になりました。
元々は無地やごく細かい縞の男物紬でした。
特徴は、
1.手紡ぎ(てつむぎ)
手で紡いだ(つむいだ)真綿(まわた)の糸を縦横共に使っていきます。
2.絣括り(かすりくくり)
綿糸を手でくくって絣糸(かすりいと→柄を出す部分をくくって染まらない様にした糸)を作ります。
3.居坐機{いざりばた→旧式の織り機で、扱いが難しいです。地機(じばた)とも言います。}
伝統的な織り機を使って織り上げます。
男性物の場合は、亀甲絣(きっこうかすり→亀の甲羅のような織り文様)や、蚊絣(蚊のように見える細かい十字の絣)が非常に多いです。
1.手紡ぎ糸(てつむぎいと)2.絣括り(かすりくくり)3.居坐機(いざりばた)。これらの条件を全てクリアした物に関しては、「重要無形文化財」に指定され、非常に高価な物となります。
その他、石下地方(いしげちほう)で作られる結城紬(ゆうきつむぎ)は値段がお手頃になりますが、風合いを楽しむ事が出来ます。(手紡ぎ糸を横糸のみ使用していたり、居坐機(いざりばた)以外の織り機を使用していたりします。)
大島紬(おおしまつむぎ)
主に鹿児島県、宮崎県
男性の紬(つむぎ)でおそらく一番人気の高い紬(つむぎ)になります。
奄美大島(あまみおおしま)で作られていた伝統的な紬(つむぎ)になります。
その昔7世紀ごろ結城紬(ゆうきつむぎ)と同じく真綿(まわた→繭をお湯の中で綿状にする)の糸を使っておりましたが、
やがて紬糸(つむぎいと)から絹糸に変わり、つやつやとした風合いが生まれます。
特徴は
独特の色
奄美大島の泥染めと呼ばれております。黒褐色の色に関しては非常に人気が高いです。
絣柄(かすりがら)
締機(しめばた→絣糸を作り出すための手法)と呼ばれている技法で一度織り上げる手法も特徴です。非常に手間がかかる為、高価な着物になります。
男性物だと、蚊絣(かがすり→かの様にみえる十字のかすり)や亀甲柄(きっこう→亀の甲羅にみえるがら)が多くみられます。
現在では奄美大島の他に鹿児島県、東村山市、宮崎県都城(みやこのじょう)で作られております。
置賜紬(おいたまつむぎ)
(きもの都粋 日比谷シャンテ店様より引用:https://ameblo.jp/toiki-tokimeki/entry-12627869610.html)
主に山形県
長井紬(ながいつむぎ)、米沢紬(よねざわつむぎ)、白鷹御召(しらたかおめし)。この3つを含める総称として置賜紬(おいたまつむぎ)と呼んでいます。
男性用の紬(つむぎ)としても非常に人気です。
特徴は(米沢紬よねざわつむぎの場合)
真綿(まわた)
結城紬(ゆうきつむぎ)と同じく真綿(まわた)の紬(つむぎ)なので洗えば洗うほど風合いが良くなって参ります。
無地感覚
米沢紬(よねざわつむぎ)などは都会的に洗練された無地の紬(つむぎ)などがよく店頭で見受けられます。
物にも寄りますが結城紬(ゆうきつむぎ)などよりお値打ちなる事がありますので比較的使いやすいかと思います。
3、ポイント
・産地の特徴を把握しておきましょう。
・紬(つむぎ)は着れば着るほど肌に馴染むので、育てる事の出来る着物です。
・特に真綿(まわた)の紬(つむぎ)に関しては、地入れ(じいれ→生地に付いた糊をさっぱり落とす事。仕立てる前に必ずします。)を産地に送って依頼した方が、生地がふわふわになって良いです。
・紬(つむぎ)は男性にとって非常に着やすいお着物で一枚用意しておくと何かと使え、長くお召しになれます。
・真綿(まわた)の紬(つむぎ)は風合いが楽しいので、出来るならガード加工はかけない方が良いと思います。(一度ガードをかけてしまうと、基本取れませんし、洗い張りするたびに変わる風合いが楽しめなくなります)
以上紬(つむぎ)の種類と特徴でした。
紬(つむぎ)は男性の普段着遣いとして非常によく使います 産地により種類間違い 育てることができる楽しいきものですので 素材感ため 味わいながら覚えていきましょう。
ライン@のアカウント変更しました!(2021年2月13日)
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