年を重ね、ご家族が増えてくると
いろいろと人生の節目と言うべき儀式がやってきます。
ご自身やご親戚の結婚式、お子様やお孫様のお宮参り(おみやまいり→神社にて生まれたての赤ちゃんが神様にご挨拶する儀式)、七五三(しちごさん→3歳、5歳、7歳のお子様の成長を祝う儀式)、十三参り(じゅうさんまいり→13歳になったお嬢様の成長を祝う儀式)、卒入学式、成人式。
また、授賞式、葬儀、法事などです。
今は人生百年の時代ですので、還暦祝い(古希から百寿まで)などなど、生きていると沢山の儀式に囲まれ、どういった服装にすべきか迷います。
今回はこういった儀式にフォーカスして、具体的な服装やマナーについて考えてみたいと思います。
私(狐面)と一緒に見ていきましょう。
要点だけであれば4,ポイントをご覧下さい
目次
- 1 1.礼装の種類
- 2 2.儀式の種類
- 2.1 結婚式
- 2.2 授賞式
- 2.3 社交会(しゃこうかい)
- 2.4 卒入学式(お子様の)
- 2.5 0歳 お宮参り(おみやまいり→神社で生まれた赤ちゃんが神様に挨拶する儀式)
- 2.6 3歳・5歳・7歳 七五三(しちごさん→3歳、5歳、7歳のお子様の成長を祝う儀式)
- 2.7 13歳 十三参り(じゅうさんまいり→13歳になった息子様・お嬢様の成長を祝う儀式)
- 2.8 20歳 成人式
- 2.9 60歳 還暦(かんれき)祝い
- 2.10 70歳 古希(こき)
- 2.11 77歳、喜寿(きじゅ)
- 2.12 80歳、傘寿(さんじゅ)
- 2.13 88歳、米寿(べいじゅ)
- 2.14 90歳、卒寿(そつじゅ)
- 2.15 99歳、白寿(はくじゅ)
- 2.16 100歳、百寿(ひゃくじゅ)
- 2.17 お通夜(おつや)
- 2.18 葬儀(そうぎ)
- 2.19 告別式
- 2.20 初七日(しょなのか)
- 2.21 四十九日(しじゅうくにち)
- 2.22 百箇日(ひゃっかにち)
- 2.23 一周忌(いっしゅうき)
- 2.24 三回忌(さんかいき)
- 2.25 七回忌(ななかいき)
- 3 3.本番
- 4 4.ポイント
1.礼装の種類
基本的に男の和服着物のフォーマルは数が少なく、以下のタイプです。
↓↓↓
服装
・紋付羽織袴スタイル(礼装)
・黒紋付羽織袴(くろもんつきはおりはかま)
本格的な儀式はこれ。
男性の和装としての最礼装です。
家紋と呼ばれる紋章を五つ入れている物です。
素材も羽二重(はぶたえ→)縮緬(ちりめん→)。
お葬式などでも同じく家紋がついた黒紋付きをお召しになります。
・色紋付羽織袴(いろもんつきはおりはかま)
(美しい日本の婚礼 花嫁のれん 様より引用 http://hanayomenoren.net/celebrate/dress3.htm)
黒以外の単色で5つ紋が入った物を「色紋付羽織袴」といいますが、黒紋付きより少し格を下げたイメージです。
小物
・扇子(せんす)
・羽織袴スタイル(略礼装)
(美しい日本の婚礼 花嫁のれん 様より引用 http://hanayomenoren.net/celebrate/dress3.htm)
一つ紋を付けた、ワンランクドレスダウンした装いです。
結婚式の披露宴などでもによく見られ、素材も縮緬(ちりめん→一面に細かな凹凸を出した絹織物)、御召 (おめし→ドレッシーな素材)紬(つむぎ→手で紡いで作るカジュアルな素材)など幅広く、それにより礼装度に変化をつけられます。
※注意
上記の図表では準礼装として色紋付の着物に袴(仙台平以外の生地)を、略礼装として羽織袴(御召・紬生地)を紹介していますが、現在ではひとくくりに略礼装にまとめて良いと思います。
例
結婚式に参加、パーティー、
法事(3回忌以降)、お子様・お孫様の卒入学式など
・羽織スタイル(お洒落着)
( 男着物.com様より引用:https://www.kimonosugata.info/omesi.html)
袴(はかま→)を除いた気軽なスタイルです。
イメージとしてはスーツスタイルです。
基本儀式では使いません。
例
結婚式の披露宴、気軽なパーティー、食事会、懇親会
調達方法
儀式服を手に入れる手段は以下の3通りです。
↓↓↓
・レンタル(20,000円~50,000円)
業者さんによってお値段もまちまちです。
相場:2万~5万円位
レンタル期間:4日間位
・購入(2万5千円~60万円)
呉服屋さん
お店にもよりますが、高級品からポリエステルのお値打ち品まであります。
ちなみにポリエステルでも、絹物と同等で格は変わりません。
例、
呉服屋
相場:10万円位
納期:1~1ヶ月半位
既製品(ネット)
仕立て上がり品で、サイズ別になっている物もあります。
寸法に妥協できる場合は利用価値があります。
家紋はシールの貼り紋という物があります。
例、
ネット
相場:2万5千~5万円位
納期:即日
関連記事 >>【男の和服着物の家紋】和のドレスコード!3つの楽しみ2つの装い!
古着屋さん
未使用品を販売しているお店もありますが、ほとんどが中古品です。
ただし、家紋は自身の家紋を貼ります。(貼り紋)
例、
古着屋さん
相場:1万5千~5万円位
納期:即日
2.儀式の種類
結婚式
和服着物:
家族を作るにあたって区切りの儀式です。
6月が多い。(ジューンブライド)
授賞式
和服着物:
いわゆる功績をたたえ、賞を頂く儀式です。
代表的なものに叙勲授与式(じょくんじゅよしき)があります。(文化勲章・菊花章・旭日章・宝冠章・瑞宝章など)
褒章(ほうしょう→天皇が授与する栄典。叙勲の対象になりにくい一過性の功績も対象。)などがあります。
例
叙勲授与式(じょくんじゅよしき)
(内閣府様より引用:https://www8.cao.go.jp/shokun/report/r040510.html)
・大勲位菊花章(だいくんいきっかしょう→日本国で最高位の勲章)
(内閣府様より引用:https://www8.cao.go.jp/shokun/shurui-juyotaisho-kunsho/kikkasho.html)
・桐花大綬章(とうかだいじゅしょう→旭日大綬章、瑞宝大綬章を授与されるべき功労より優れた功績を上げた人が対象)
(内閣府様より引用:https://www8.cao.go.jp/shokun/shurui-juyotaisho-kunsho/tokasho.html)
・旭日章(きょくじつしょう→国家又は公共に対する功績で特に顕著な成績を上げた人が対象)
(叙勲コム様より引用:https://jokun.com/home2/jokun_houshou/kyokujitsu/)
・瑞宝章(ずいほうしょう→公務に長年にわたり従事し功績を上げた人が対象)
(叙勲コム様より引用:https://jokun.com/home2/jokun_houshou/zuihou/)
・文化勲章(ぶんかくんしょう→文化の発達に関し顕著な功績をあげた人が対象)
(木村榮記念館様より引用:https://www.miz.nao.ac.jp/kimura/c/collection/item-28)
・宝冠章(ほうかんしょう→日本以外の外国人に対する叙勲の場合、女性にのみ授与される勲章)
(内閣府様より引用:https://www8.cao.go.jp/shokun/shurui-juyotaisho-kunsho/hokansho.html)
褒章(ほうしょう→天皇が授与する栄典。叙勲の対象になりにくい一過性の功績も対象。)
・紅綬褒章(こうじゅほうしょう→人命救助に尽力した人が対象)
(内閣府様より引用:https://www8.cao.go.jp/shokun/shurui-juyotaisho-hosho/hosho.html)
・緑綬褒章(りょくじゅほうしょう→長年ボランティア活動に従事し、顕著な実績を上げた人が対象)
・黄綬褒章(おうじゅほうしょう→農業、商業、工業において他の模範となる功績を残した人が対象)
(内閣府様より引用:https://www8.cao.go.jp/shokun/shurui-juyotaisho-hosho/hosho.html)
・紫綬褒章(しじゅほうしょう→科学、スポーツ、芸術分野で優れた業績を上げた人が対象)
(内閣府様より引用:https://www8.cao.go.jp/shokun/shurui-juyotaisho-hosho/hosho.html)
・藍綬褒章(らんじゅほうしょう→公共の民生委員、保護司等に尽力した人が対象)
(内閣府様より引用:https://www8.cao.go.jp/shokun/shurui-juyotaisho-hosho/hosho.html)
(内閣府様より引用:https://www8.cao.go.jp/shokun/shurui-juyotaisho-hosho/hosho.html)
・紺綬褒章(こんじゅほうしょう→公的機関などに500万円以上寄付した個人。1000万円以上寄付した団体が対象)
(横浜国立大学基金様より引用:https://kikin.ynu.jp/privilege/privilegelist/konjuhousho)
ノーベル賞授賞式
(Yahoo Japanニュース様より引用:https://news.yahoo.co.jp/articles/e1e0152ba025afc179cca2ff831fe5e5c8ea1336)
(日本)アカデミー賞授賞式
(ぴあ映画様より引用:https://lp.p.pia.jp/article/news/256705/index.html?detail=true)
芥川賞・直木賞授賞式
(japanese artist file様より引用:https://h2.hatenablog.com/entry/20130825/1377440539)
等
※注意
奥様自身が参加される場合、宮中の儀式は黒を喪服とみなすため、色留袖か訪問着が適切と言われます。
社交会(しゃこうかい)
和服着物:
元々は貴族・皇族・上流階級の名家の人間の交流の場です。
基本的に称号・勲章などを持たない者は参加できないとされます。
例
園遊会(えんゆうかい→天皇・皇后が主催する社交会。年2回春・秋に開催)
(毎日新聞様より引用:https://mainichi.jp/graphs/20230511/mpj/00m/040/098000f/20230511mpj00m040086000p)
桜を見る会(旧観桜会→かんおうかい。現在は内閣総理大臣が主催)
(首相官邸様より引用:https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/actions/201904/13sakura.html)
卒入学式(お子様の)
和服着物:
幼稚園・保育園の入学式・卒業式です。
また小学校・中学校・高校・専門学校・大学など、計6回から10回ほど行って参ります。
0歳 お宮参り(おみやまいり→神社で生まれた赤ちゃんが神様に挨拶する儀式)
和服着物:
神様に生まれたてのお子様を紹介します。
赤ちゃんが氏神様(うじがみさま→地域の神)に初めてお会いし氏子(うじこ→氏神を信仰する者)になる行事です。
簡単に言うと、その土地の一員になったことを神様に認めてもらう儀式です。
生後一か月程で、男の子は32日目、女の子は33日目と言われますが地域性が多くあります。
関連記事 >>【男の和服着物の祝着・七五三・十三参り】お子さんの為の準備とは?
3歳・5歳・7歳 七五三(しちごさん→3歳、5歳、7歳のお子様の成長を祝う儀式)
和服着物:
(それぞれに意味がありますが)基本的にお子様の成長を祝う儀式です。
3歳、5歳、7歳に行う行事です。
3歳、7歳は女の子。5歳は主に男の子の行事と言われます。
室町時代から行われていたようで、江戸時代に民衆に定着したそうです。
11月15日に行うことが多いです。
13歳 十三参り(じゅうさんまいり→13歳になった息子様・お嬢様の成長を祝う儀式)
和服着物:
13歳になった年の(地域によっては)都合のよい日。または11月の15日前後で行われます。
あるいは新年や誕生日でも行われます。
京都では4月13日あたりに別名:知恵詣(ちえもうで)という儀式を行います。
20歳 成人式
和服着物:
成人の日に二十歳(今は18歳)になった若者が大人の仲間入りをする儀式です。
ほとんどの女性は振袖を着て、男性はスーツあるいは紋付き羽織袴を着ます。
関連記事 >>【男の和服着物の成人式】お子様の門出!用意すべきアイテムとは!?
60歳 還暦(かんれき)祝い
和服着物:
六十歳を記念した祝いの儀式です。
赤いアイテムなどを身につけます。
70歳 古希(こき)
和服着物:
中国の詩人の一説に由来しているそうです。
紫色が祝いの色とされています。
77歳、喜寿(きじゅ)
和服着物:
喜びという字が七十七と読めることに由来していると。
同じく紫色が祝いの色とされます。
80歳、傘寿(さんじゅ)
和服着物:
傘の字が八十と読めることが由来。
祝い色は黄色です。
88歳、米寿(べいじゅ)
和服着物:
米の字が八十八と読めることから。
同じく黄色が祝い色です。
90歳、卒寿(そつじゅ)
和服着物:
卒という字が九十と読めることから。
白が祝い色とされます。
99歳、白寿(はくじゅ)
和服着物:
百から一を引くと白となることが由来。
同じく白が祝い色とされます。
100歳、百寿(ひゃくじゅ)
和服着物:
百歳であることより。
同じく白が祝い色とされます。
お通夜(おつや)
和服着物:
お葬式の前日の夜。
仏教で「葬儀」前に行う儀式のことです。
元々は親族が故人を夜通しで守ることを意味したそうです。
現在一般的なのは半通夜(はんつや)と呼ばれる2時間程度の儀式で、僧侶を招きお経を読んでもっている中で参列者が焼香をする形です。
葬儀(そうぎ)
和服着物:
死者を弔うために行われる祭儀です。本来は遺族が故人への想いに集中すべき時間だとのこと。
宗教的な儀式なため、宗教によって様式が違います。
ここでは、日本でもっとも一般的な仏式のことを指します。
通常、僧侶が読経を行うことです。
告別式
和服着物:
葬儀の後、故人に別れを告げ参列者に挨拶する儀式です。
本来は葬儀と分けて考えられるもので、社会的な儀式だそうで喪主が主導で行います。
内容としては、告辞(こくじ)や弔歌(ちょうか)の朗読、弔電(ちょうでん)、参列者が最後のお別れをするなど行われます。
初七日(しょなのか)
和服着物:
故人が三途の川(さんずのかわ)のほとりに到着する日とされ、激流・急流・緩流どれかを渡るか決まる日、またはそのための儀式。
流れの緩い緩流を渡れるように法要をします。
本来は骨あげから3日後あたりですが、通常は葬儀の後に行います。
四十九日(しじゅうくにち)
和服着物:
仏教で故人の行き先が決まる最も重要な日です。
故人が極楽浄土に行けるように家族・親族・故人と縁の深い方で法要を営みます。
四十九日までに本位牌(ほんいはい→正式な漆塗りの位牌)を用意します。
これを機に遺族は日常生活に戻ります。
百箇日(ひゃっかにち)
和服着物:
泣くことを止め、悲しみに区切りをつける日です。
亡くなった命日から100日目の法要を身内で営みます。
一周忌(いっしゅうき)
和服着物:
亡くなって1年です(一年後の命日)。
ここまでが喪中とされます。
三回忌(さんかいき)
和服着物:
亡くなってから2年後のか三回忌から亡くなった年も含めて数える。
(一回忌・三回忌は大切)
七回忌(ななかいき)
和服着物:
亡くなってから6年後です。
ここからは法要をまとめて行って良いそうです。
また、招く人も少数です。
この後は、十三回忌・十七回忌・二十三回忌・二十五回忌・二十七回忌・三十三回忌・三十七回忌・四十三回忌・四十七回忌・五十回忌・百回忌・百五十回忌・・・と続くことになりますが、三十三回忌でお寺において永代供養(えいたいくよう)を行う事が多いそうです。
3.本番
※叙勲のスケジュール例(調べた結果)
叙勲(中綬章の場合)
(内閣府様より引用:https://www8.cao.go.jp/shokun/report/r040510.html)
前日
ホテルチェックイン
着物をレンタルされる方はここで衣装チェック
記念写真の事前確認(どんなタイプの写真にするか等)
記念品・お返し品選び
風呂敷の確認(勲章等持ち帰る際に必要になります)
印鑑の確認(受領の際に必要になります)
佩用金具(はいようかなぐ→勲章等を衣装につけるための金具)の確認
当日
6時頃
起床
↓
朝食
↓
着替え・準備
↓
10時頃
ホテル出発
↓
伝達式会場(でんたつしき→中綬章以下の勲章等を受け取る。各省庁)到着
↓
伝達式(30分程度)
↓
バスで宮中へ出発
↓
宮中到着
↓
天皇拝謁(はいえつ)
↓
15時頃
宮中にて記念撮影
↓
解散(東京駅または、各省庁にて)
↓
ホテル到着
↓
記念撮影(ホテルにて)
↓
夕食
会場での立ち振る舞い
(叙勲コム様より引用:https://jokun.com/home2/flow/dentatsusiki_haietsu/)
初心者さんには色々なことが起きます。
関連記事 >>【男の和服着物の生活で気を付けるポイント】トイレはどうする?
袂(たもと→袖の下)
テーブルの料理を取る時、袂(たもと→袖の下)を手で押さえる。
帯
座る時に背もたれにもたれない。
座った時、帯がズリ上がるので後で下げる。
裾(すそ)
足を広げ過ぎない。(特に座っている時)
太腿(ふともも)
食事中、料理が溢れても大丈夫な様に手拭い(てぬぐい)やハンカチを太ももに載せておく。
コート類
コートをクロークに預ける(羽織は着たままでOK)
※参照
マナー
和食時の独特マナー
↓↓↓
関連記事 >>【男の和服着物の和食】日本文化の凝縮!その時の着物とマナーとは?
4.ポイント
・ドレスコードについて、不安な場合は主催者に問い合わせると良い
・人生には節目と呼ばれる儀式が沢山あり、その時々の和装スタイルがある
・一般的な種類として「結婚式」「卒入学式」「お葬式法事」等ある
・儀式の服として「紋付羽織袴スタイル」「羽織袴スタイル」「羽織スタイル」などがある
・調達方法は「レンタル」「購入」その他、既製品等を「古着屋さん」で仕入れる事もたまにある
以上、男の和服着物の儀式でした。
多くの方が経験するであろう儀式について、和装で参加する方法を見ていきました。
おそらく実際に参加してみると見えてくる物、感じてくる物があります。
その時は自分用にカスタムして改善してみてくださいね。
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