和服着物を楽しむ方がいずれ行き着くのが家紋(かもん)です。
家紋(かもん)の意味もさることながら、デザイン自体にも和のエッセンスが詰まっています。
今回はそんな家紋について考えてみたいと思います。
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要点だけであれば、3.ポイントをご覧ください
1.歴史・種類
歴史
家紋(かもん)とは家のシンボルマークであり、数として600種類ほど存在すると言われる日本の独自デザインです。
平安時代
主に貴族が使い始めたのが始まりと言われます。
諸説ありますが、自分の所有物を見分けるために牛車(ぎゅうしゃ)に使った物が始まりと言われます。
その時は自分たちの好みのものを作ったらしいです。(権力の誇示)
戦国時代
その後、武士たちが別の形で使い始めます。
戦(いくさ)での目印としての旗や陣幕などです。(団結の意味)
傾向として、公家は華やかなものを好み、武士はシンプルなものを好みます。
江戸時代
豊臣秀吉の時代に家紋の使用を強く規制され、江戸時代に(規制が)緩くなり、庶民も使えるようになりました。
庶民の使用目的はそれぞれ異なっています。
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工人(こうじん)
職人たちは工芸製品のブランド力を誇示しました。
商人
商人たちは「のれん」などで自分たちのお店を宣伝しました。
農民
農民たちは装飾を目的に家紋(かもん)を使いました。
徳川5代目将軍の時代からは町民文化が爆発し、役者などの「芸能人の家紋」も大人気になります。
加賀紋(かがもん→一般に友禅染を使った多色のオシャレ家紋。上級武士など上品なイメージ)、
伊達紋(だてもん→一般に刺繍を使った多色のオシャレ家紋。数寄者や侠客などストリート色が強い)
など装飾を強くしていったものもあります。
明治時代
ほぼ全員、一斉に苗字と共に家紋(かもん)を決められました。
現在
今、一般の方は家紋を使う機会が無くなりました。
一部、天皇家の十六弁八重表菊紋(じゅうろくべんやえおもてぎくもん)
日本国政府の五七桐紋(ごしちのきりもん)
などの習慣が残っています。
意味
・格を表す
・所有物の印の名残り
・お洒落
種類
一般家紋
家に伝わる代々の家紋(かもん)の事です。普通、家紋(かもん)とはこちらを指します。
加賀紋(かがもん)
(京都の刺繍 三京様より引用:https://www.shisyu.net/product/%E3%81%8A%E6%B4%92%E8%90%BD%E7%B4%8B/)
彩色した草花などを図案化したものです。
おしゃれを目的としており、比較的派手です。
本来は加賀紋(かがもん→一般に友禅染を使った多色のオシャレ家紋。上級武士など上品なイメージ)、
伊達紋(だてもん→一般に刺繍を使った多色のオシャレ家紋。数寄者や侠客などストリート色が強い)というように棲み分けられてましたが、
現在は合わせて加賀紋と呼ばれています。
しゃれ紋
(衣裳らくや公式ブログ様より引用:https://rakuya.exblog.jp/9707035/)
落語家さんが好みで入れるような紋です。
一種の遊び。
格
五つ紋(いつつもん)
付ける場所:胸2つ、背中1つ、左右の袖の後にそれぞれ1つずつ
相場:10000円~25000円位(着物によります)
三つ紋(みつもん)
付ける場所:袖後ろにそれぞれ1つ、背中に1つ
相場:15000円~20000円位(着物によります)
一つ紋(ひとつもん)
付ける場所:背中に1つ
相場:10000円~17000円位(着物によります)
関連記事 >>【男の和服着物の種類と格の見分け方】図解で解説!6つのシーン
付け方
染め抜いたり、縫ったりしてつける方法があります。
その方法により格も変わります。
染め紋
染め抜き紋(そめぬきもん)
(キモンドウ様より引用:https://kimondou.jp/news/?p=565)
(家紋のいろは様より引用:https://irohakamon.com/kamon/kiri/gosankiri.html)
石持ち(こくもち→丸く白い部分)を染めて作ります。
正式な五つ紋はこの染め抜きで作り、格も最も高い手法です。
相場:10000円~15000円位
中陰紋(なかかげもん)
(家紋のいろは様より引用:https://irohakamon.com/kamon/kiri/chuukagegosankiri.html)
染め抜きの「影の部分」と「日向(ひなた)の部分」とが逆になっています。
相場:13000円~20000円位
刷り込み紋(すりこみもん)
(伊藤紋章店 「紋武」様より引用:http://mon.no.coocan.jp/surimon.htm)
プリント式で刷り込む簡易的なものです。
七五三等のお子さん用によく使われます。
格が低めです。
相場:8000円~14000円位
縫い紋(ぬいもん)
刺繍で作った家紋の事です。
一般的に一つ紋にします。
少しドレスアップしたい時、羽織に一つ紋は結構使えます。
相場:10000円~17000円位
貼り紋(はりもん)
(貼り紋専門オンラインショップ様より引用:https://harimon.easy-myshop.jp/c-fpage?fp=12)
即席の家紋で黒紋付きなどに使います。
文字通り「貼れる家紋」でシールになっています。
相場:2000円~4000円位
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2.楽しみ方
A.服に付ける・持ち物に付ける
B.自分のルーツを探す
C.デザインをする(ルールを学び鑑賞する)
A.服に付ける・持ち物に付ける
パターン1(服に付ける)
家紋(かもん)の役割として、和装の格をアップさせたりダウンさせたり出来ます。
服装
例1
羽織(はおり→和装ジャケット)
御召(おめし→光沢のあるドレッシーな生地)
グレー
縫い紋一つ
着物
御召(おめし→光沢のあるドレッシーな生地)
白
帯
角帯(かくおび→一般的な長方形の帯)
博多献上(はかたけんじょう→男の定番帯)
銀鼠(ぎんねず→シルバーグレー)
足袋(たび→和装靴下)
白
履物
草履(ぞうり→クッション入りの和装サンダル)
雪駄(せった→底に革を貼ったカジュアル草履(ぞうり)の一種。男性のみ)
畳表・黒
羽織紐(はおりひも→羽織の前面につく紐)
丸組(まるぐみ→円柱状に組んだ組紐)
グレー
例2
羽織(はおり→和装ジャケット)
黒紋付
縮緬(ちりめん→一面に細かな凹凸を出した絹織物)
五つ紋染め抜き
着物
江戸小紋(えどこもん→極小柄の着物)
黒・グレー
帯
角帯(かくおび→一般的な長方形の帯)
博多献上(はかたけんじょう→男の定番帯)
黒
足袋(たび→和装靴下)
白
履物
草履(ぞうり→クッション入りの和装サンダル)
シルバーグレー
羽織紐(はおりひも→羽織の前面につく紐)
丸組(まるぐみ→円柱状に組んだ組紐)
赤
パターン2(物に付ける)
(京都の刺繍 三京様より引用:https://www.shisyu.net/product_tax/fukusa/)
風呂敷に付けます。
相場:30000円位(生地込み)
B.自分のルーツを探す
家紋(かもん)の名前を調べ、その意味も調べます。
パターン1(お墓を調べる)
お墓には家紋(かもん)が掘られていますので、こちらで確認して下さい。
家紋(かもん)がわかったら、その名前、形、意味、多く分布する地域などを調べます。
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パターン2(古い着物を調べる)
もしお墓に家紋(かもん)がなければ、お母様、お父様の古い着物を見てみましょう。
風呂敷や袱紗(ふくさ→進物を包んだりする布)などにも染められていたりします。
確認したら、パターン1と同じくルーツを調べます。
C.デザインをするルールを学び鑑賞する
鑑賞して、和のデザイン手法、特徴を学びます。
家紋(かもん)図鑑を使ってみると、沢山のデザインを見ることができます。
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パターン1(眺めて楽しむ)
ボーと眺めるとルールが見えてきます。
二次元の世界において、平面的で簡単化されたデザインに気づきます。
パターン2(オリジナルの家紋を作る)
家紋(かもん)の感じが掴めたら自身の家紋(かもん)を作ってみましょう。
落語家さんがよくやっています。
参考
修正費用
泣き修正(なきしゅうせい)
(有限会社みつば様より引用:http://www.kimono-mitsuba.com/list/monire.html)
7000円位+縫い戻し5000円
家紋が長期間経つことで劣化し、紋の輪郭がぼやけてくる(泣きと言います)のを直します。
染め直し
(有限会社みつば様より引用:http://www.kimono-mitsuba.com/list/monire.html)
15,000円+縫い戻し代5000円
家紋を染め直します。
ただし、胡粉(ごふん→貝殻を砕いて作った白い顔料。)で家紋の地がパリッとします。(そのままやると浮き上がる)
※注意
縫い紋は基本戻せません。ただし洗い張り(あらいはり→糸をほどき、布状態にして水洗いする事)すれば、縫い目は衿の中に入れられるので可能。
裏地がある場合、袖と脇を縫い解いてやるとのこと。
(裏から蒸気当てながら染めるので)裏地が邪魔になるからだそうです。
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3.ポイント
・家紋は日本のエッセンスが詰まっています
・もともとは平安時代の貴族が自分の所有物を示すためのマークです
・家紋にはそれぞれ意味があり、数と染め方で格を表します(一つ紋、三つ紋、五つ紋)
・家紋の楽しみ方として3つ程あります(服に付ける。自分のルーツを探してみる。自分流のデザインで作ってみる。)
以上、男の和服着物の家紋でした。
家の家紋を調べる事で、自分自身のご先祖様を感じられます。
「今の自分があるのはご先祖様のおかげだ」と感じられればお盆の墓参りにも積極的になれますね。
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