着物を着た経験の無い方も一様に「ハードルが低い」とおっしゃる作務衣(さむえ)と甚平{じんべい→夏用作務衣(半袖半ズボン)}です。
これが着物なのか判断が分かれる所ではありますが、和文化に興味がある方にとって最適なのは間違いありません。
今回はこの作務衣(さむえ)、甚平(じんべい)について考えてみたいと思います。
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要点だけであれば、3.ポイントをご覧下さい
1. 歴史、種類
種類
作務衣(さむえ)
僧侶が掃除の時に着用する服。
帯無しで上下二部式の和装形態です。
長袖、長ズボンタイプ。
甚平(じんべい)
夏用作務衣(半袖半ズボン)です。
素材も薄めで涼しい。
歴史
作務衣(さむえ)
元々禅宗において、修行としての雑務を「作務(さむ)」という。
この時に着ていたものを作務衣(さむえ)と言います。
現在の上下二部式になったのは、最近の事らしく、{戦時下のもんぺ(→ズボンを参考に着物で作ったパンツ)の影響?}。
長作務衣(ながさむえ)と言って、膝丈まである上衣だったようです。
甚平(じんべい)
元々戦国時代、身分の低い武士向け陣羽織(じんばおり→戦中に鎧の上から着用した羽織)を雑兵用陣羽織(ぞうひょうじんばおり)と呼ぶらしく、そこから派生して「陣兵羽織(じんべいばおり)」になったという説があります。
そこにもんぺ(→ズボンを参考に着物で作ったパンツ)の影響からパンツがついたと思われます。
主に、夏限定で着用される服です。
形状
作務衣(さむえ)
二部式で袖とパンツの裾が長い。
袖口とパンツの裾を絞っている物もあります。
物により、ポケットが上前に一つ、パンツにも左右2つポケットがあります。
その他ウエストが紐かゴム、また股間のチャックがある場合もあります。
甚平(じんべい)
二分式で半袖、半ズボンになっています。
袖付けと脇がタコ糸(凧揚げに用いる太く強力な糸)でジグザグに止められており、
風が衣服の中を通りやすくなっています。
上前に一つポケット、パンツにも左右ポケット、ウエストが紐かゴム。
完全にズボンタイプは、ウエストボタンに股間のチャックがあります。
着用方法
※構造上、どちらも
上衣
上衣を左右に打ち合わせた後、脇線から紐が出ており、それと(衿付け線から出ているもう一つの)紐とを結んで固定をします。
下衣
パンツのウエストにある紐かゴムで固定します。
下着(下に着るアイテム)
作務衣(さむえ)
基本は下にもう一枚着ます。
作務衣用の下着が販売されていますが、Tシャツでも良いでしょう。
甚平(じんべい)
基本は素肌に着ますが汗でベタつくので、Tシャツを下に着ても良いです。
イメージ
素材
木綿
綿麻
麻
ウール
絹の紬(つむぎ→手で紡いだ糸で作るカジュアル生地)
色
※一般的に
紺、グレー、茶、黒、白、生成(きなり→オフホワイト)、水色、エンジ、グリーン、濃い紫など。
基本は黒、深緑、グレー、茶などダーク系が人気です。
ただし、黒は僧侶(お坊さん)に見えるかもしれません。
柄
無地、縞柄、部分柄、細かい小紋があります。
基本は無地、もしくは縞が無難です。
相場(一般)
約5千円~3万円位
作務衣(さむえ)
約1万円~3万円
甚平(じんべい)
約5千円~1万円
季節別の売れ筋(あるサイト情報)
冬の人気品
作務衣(さむえ)
1位、綿
約2万~3万5千円
デニム約2万7千円~3万円
綿刺子は2万円位。
中には袷(あわせ→裏地付き)になっている物もあります。
2位、ウール
約3万円位
3位、絹
約5万円~7万円位
夏の人気品
作務衣(さむえ)
1位、麻
小千谷縮(おじやちぢみ→夏の麻織物。新潟県産。涼しい)
3万円~6万5千円位
近江縮(おうみちぢみ→夏の麻織物。滋賀県産。涼しい)
1万5千円~3万円位
2位、木綿
6千円~2万5千円位
3位、和紙(わし)
1万5千円~2万5千円位
甚平{じんべい→夏用作務衣(半袖半ズボン)}
(甚平に冬用は無い)
1位、麻
綿麻(めんあさ→綿と麻の混合。涼しく、シワになりにくい)
近江縮(おうみちぢみ→夏の麻織物。滋賀県産。涼しい)
1万5千円~2万6千円位
2位、綿しじら(めんしじら→凸凹のある生地感と薄さで夏を快適に過ごせる)
3千円~1万2千円位
3位、綿麻(めんあさ→綿と麻の混合。涼しく、シワになりにくい)
3千円~1万8千円位
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2. 購入方法と楽しみ方
見極め
まず良い作務衣(さむえ)とは、どんなものか?
主に、染色、生地、サイズ感、縫製です。
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染色
・本藍(ほんあい)
化学染料ではなく、藍染(あいぞめ)で藍色に染められた物。
美しい色。
4万円から8万円
・柿渋染(かきしぶぞめ)
発酵した青柿の絞り汁を2年寝かせて、染めた渋い色。
赤茶っぽい。
3万5千円から6万円位
※注意
草木染めは色止め(いろどめ→洗うと色が滲み出る)されていない物も多いです。
色落ちしますので、他の物と一緒に洗わないようにしましょう。
生地
価格に反映されやすい要素です。
夏は
小千谷縮(おじやちぢみ→夏の麻織物。新潟県産。涼しい)
近江縮(おうみちぢみ→夏の麻織物。滋賀県産。涼しい)
等の麻織物。
冬は
絹織物(紬(つむぎ→手で紡いだ糸で作るカジュアル生地))
上質な木綿
など。
サイズ感
既製品が多い為、サイズ感が合っている事。
サイズ表
S・M・L・LLまで揃えている所もあるが、ほとんどM・L・LLサイズ。
表
身長目安 裄 ウエスト
S 150〜160 66〜68 60〜85
M 160〜170 69〜70 65〜90
L 170〜180 71〜73 70〜95
LL 180〜190 74〜76 80〜105
縫製
袖が取れてしまうのは論外ですが、
縫製が良いと耐久性に関係します。
日本製が比較的安心と言われますが、
ほとんどミシン縫製ですので、しっかり縫製する意思があるかが大切です。
製造国や、縫製品質。
日本製
中国製
ベトナム製
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以上が
良い作務衣(さむえ)、甚平{じんべい→夏用作務衣(半袖半ズボン)}の要素です。
タイプ別2つの選び方
秋冬は作務衣(さむえ)
春夏は甚平{じんべい→夏用作務衣(半袖半ズボン)}と役割分担する。
裏着物扱いタイプ(自宅で使用)
作務衣(さむえ)
デニム紺色(お手頃で丈夫)
甚平{じんべい→夏用作務衣(半袖半ズボン)}
ダーク
綿しじら織り{→凸凹した薄い生地(安くて涼しい)}
お出掛けもしたいタイプ(外出、夏祭りで使用)
作務衣(さむえ)
綿刺し子(さしこ→補強の為、生地に木綿糸で縫い込んでいる物。地厚)
紺{藍染(あいぞめ)も狙っても良い}
+
下駄(げた)
白木
+
足袋(たび→和装靴下)
白
+
バッグ
手提げトートバッグ{天然素材、帆布(はんぷ→丈夫な地厚綿)など}
生成色(きなり→オフホワイト)か黒
ショルダーバッグ{頭陀袋(ずだぶくろ→)}
黒か紺
※注意
頭陀袋(ずだぶくろ)で生成色(きなり→オフホワイト)を選ぶと、僧侶姿そのままになってしまうので避けましょう。
甚平{じんべい→夏用作務衣(半袖半ズボン)}
綿麻か麻
近江縮(おうみちぢみ→夏の麻織物。滋賀県産。涼しい)も狙っても良い。
ダーク系
+
下駄
黒塗り
素足
+
バッグ
風呂敷バッグ手提げ持ち
甚平(じんべい)と同系色
関連記事 >>【男の和服着物の風呂敷】和装への取り入れ方で覚えるべき3つの手法
ウエストポーチの斜め掛け
黒
個人的に使ってます。
※組み合わせは他に下着が必要です。
基本白か黒のTシャツで代用します。
履物は、下駄以外にスニーカーや草履(ぞうり)でも良いです。
但し草履(ぞうり)の場合、白の鼻緒は礼装用なので不向きです。
コーディネートの楽しみ
服アレンジ
セットアップで使うか、上下バラバラで使うか。
・上下セットが基本
下にはTシャツ
黒が良い
・上下替えバージョン
上衣
グレー
下衣
紺
下着
Tシャツ
黒
小物アレンジ
小物をプラスするか、下着を変える。
小物プラス
あると便利アイテム
・手拭い(てぬぐい)
・帽子(ハンチング、ハット)
・扇子(せんす)
下着を変える
作務衣(さむえ)の場合
Tシャツから
↓
・作務衣用の肌着(白のさらし生地で出来た上衣)に変える。
・白のスタンドカラーシャツやタートルネックニット(冬の場合)に変える。
着用テクニック
・衿止めをつける
衿のはだけ防止の為。(ただし、衿の縫い目に差し込むため、ミシン製の縫い目を一部切らないと入りません)
・バッグ持つ(オススメ→シザーケース)
夏祭に便利です。
スマホをポケットに入れると形崩れする為。
購入方法
二つのルート。
・デパート,スーパー,専門店
(デパート、スーパーは父の日に充実する)
・ネットショップ
(通販も意外に充実してる)
裏技!3つの買い方
・5月~6月、父の日前にデパートやスーパーを見る(実物見たいなら)
・作務衣(さむえ)・甚平(じんべい)専門店で相談する(こだわるなら)
・楽天さんなどの激安品を狙う(ただし品質も落ちる。3000円から)
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3.ポイント
・男着物の初心者さんには作務衣(さむえ)・甚平{じんべい→夏用作務衣(半袖半ズボン)}がオススメなアイテムです
・作務衣(さむえ)は長袖長ズボンの2部式和装。修行僧が修行としての雑務「作務(さむ)」時に着ていたものです
甚平{じんべい→夏用作務衣(半袖半ズボン)}は半袖半ズボンの2部式和装。身分の低い武士向け陣羽織(じんばおり→戦中に鎧の上から着用した羽織)雑兵用陣羽織(ぞうひょうじんばおり)から派生し「陣兵羽織(じんべいばおり)」になった物(説)です
・着用形式は上衣が脇線にある紐と衿付けにある紐を結ぶ簡単なもので、下衣がズボン形式の上下セットになっています
相場は5千円から3万円位です
・品質と価格は染色、生地、サイズ感、縫製、で決まることが多い。目的に合ったものを選ぶと良いです
・購入の仕方として、父の日前のデパート店頭、ネット通販系がオススメ。あなたが自宅専用にしたいか、外出も考えているかで選び方が変わります
以上、男の和服着物の作務衣(さむえ)・甚平{じんべい→夏用作務衣(半袖半ズボン)}でした。
まずは自宅の裏着物(家着物)としては使ってみたいですね。
コレをキッカケに、和の感覚を掴んでみましょう。
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