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【男の和服着物のプロ悉皆】意外と知られていない6つのポイントは?

更新日:

和服着物を着ている方がお世話になるであろう、プロの悉皆(しっかい→お手入れ全般の事)です。

実際、工房の中では何が行われているのか知らない方が多いと思います。

今回はその秘密のベールを剥がしてみたいと思います。

一緒に見ていきましょう。

※今回はある工房(工場)で見聞きした事をお話ししています。他の工房とは違う恐れがありますのでご了承下さいませ。

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文化
お急ぎの方へ

要点だけであれば、3.ポイントをご覧下さい

1.プロ悉皆(しっかい→お手入れ全般の事)業の一例

ある工房

※上の画像はイメージです。

ある工房を一例として見学させて頂きました。

こちらの規模をご紹介します。

従業員数

60人位

強み

こちらでは洗いごとに溶剤を新しく変えて着物を大切に扱う事。

そして自然環境への配慮がなされていることを挙げていました。

 

普段、内部の案内はしてもらえないようなので貴重な体験でした。

業務内容

 

シミ抜き

(着物買取サポート様より引用:https://kimono-support.com/type-material-shimi/

 

(和遊館丸豊様より引用:https://wayukanmarutoyo.com/cleaning-size/

相場:5,000円~

油汚れから水汚れなどが原因で出来たシミを取り除きます。

職人さんの技術を駆使しており、この技術力は工房ごとに違ってくるようです。

他社で断られた汚れを落とす工房も存在します。(比較的京都に多い)

お手入れでよくあるのがシミ抜きです。

 

メリット:

・部分補修なので気が楽

・新しい汚れなら比較的キレイに落ち、金額も抑えめ

デメリット:

・古い汚れの場合(変色ではなく色抜けになっている恐れ)は割増金額がかかる。または落とせない。

 

汚れ修正

(クリーンショップYOKOKURA様より引用:https://siminukiproshop-yokokura.com/%E7%9D%80%E7%89%A9%E3%81%AE%E8%89%B2%E6%8A%9C%E3%81%91%E7%9B%B4%E3%81%97

相場:10,000~40,000円位

シミを放置すると変色していてしまい色が抜けてしまいます。

これを色挿し(いろざし→色をつけた筆で染める事)して元の色に戻す作業です。

メリット:

色抜けした箇所が判別出来ないくらい綺麗な仕上がりになる

 

デメリット:

高額になりがち

納期が遅くなる

 

カビ抜き

(京都 きものサロン創夢様より引用:https://kimono.salon/mold-removal/

相場:15,000円~

絹の和服着物で1番気をつけたいのがコレです。

工房によっては除菌加工と言ったりします。

カビが生えてしまった和服着物をキレイにします。

和服着物の「虫食い対策」をされている方が多いと思いますが、絹物の場合は「カビ」こそ最も気をつけるべきものです。

メリット:

カビが生えた古い和服着物をもう一度着られる

デメリット:

完全にカビが除菌出来ないケースもある

 

ガード加工(汚れ防止加工)

(和衣庵様より引用:https://kimonowagoromoan.com/blog/detail/20210415155113/

相場:10,000~20,000円位

よく和服着物を着る方(絹の和服着物メインの方)にオススメしたい「よごれ防止加工(ガード加工)」です。

これは和服着物の繊維一本一本に撥水(はっすい)、撥油(はつゆ)の効果がある加工をすることです。

このガード加工は、各悉皆(しっかい→お手入れ全般の事)工房さんごとに開発していることが多く、一番有名なのはパールトーンさんだと思います。

それぞれ特徴がありますが、大きくは違いません。

昔は、和服着物の表面に膜を張るタイプも多く、通気性などに問題もありましたが、今はほぼ改善しております。

メリット:

・和服着物の汚れを防ぐ事ができる

・急な雨や汚れがあってもはじいてくれ、被害を最小限にできる

・汚れても落としやすい

・最初の(ガード)加工をしておけば、その後のお手入れ代が通常やすくなる

デメリット:

・一度加工を付けたら取れない

・風合いが少し変わる(変わらないという方もみえます)

 

洗い張り(あらいはり)

(きのした様より引用:https://www.kimono-kinoshita.com/cleaning/

相場:15,000~20,000円位

古くから行われている和服着物の洗濯方法です。

水洗いします。

具体的方法は(絹で出来ていることが多い)和服着物で一度縫製を解き、生地を一枚の布に戻して仮縫い(かりぬい→ロックミシンのように仮に縫うこと)をします。

その状態で水に付け、専用の洗い台で刷毛(はけ)を使いさっと洗っていきます。

洗い終わったら、乾かし完成です。{洗い張りだけなら、この反物(たんもの→巻き物)状で納品されます}

メリット:

・丸洗いでは取りにくい繊維の中のほこりや油汚れが落ちる

・丸洗いでは(通常)落ちない水汚れが落ちる

・寸法が合わない和服着物の場合、寸法直しと洗いが同時に出来る(譲り受けた和服着物や中古着物のケース)

デメリット:

・比較的金額がかかる(和服着物に仕立て直す為の仕立て代が余分にかかる)

・丸洗いより納期に時間がかかる

 

丸洗い(まるあらい)

(和わ様より引用:https://wa-wawa.jp/service/maintenance/

 

(和遊館丸豊様より引用:https://wayukanmarutoyo.com/cleaning-size/

相場:8,000円~

和服着物をそのまま専用の洗濯機で洗ってしまう、一番気軽なお手入れ方法です。

それでも衿元や袖口など汚れが残りやすい場所は、事前に手作業で汚れを落とす事が多いです。

メリット:

・(洗い張りに比べ)納期が短い

・油汚れが取れる

デメリット:

・洋服のクリーニングに比べ1回の洗いの金額が高め(ガード加工済みなら低価格になる)

・水溶性の汚れは取れない(汗抜きという加工を入れる必要がある)

・繊維に詰まったホコリや汚れが落ちにくい

 

汗抜き(あせぬき)

(きものFUN様より引用:https://kimono-fun.com/column_dxarai/

相場:12,000円~(丸洗いとセットで)

水溶性の汚れ(汗、雨、しょうゆ、お茶など)を取る作業です。

通常単独では作業せず、丸洗いとセットの価格になっています。

メリット:

・水シミが残らない

・料金が比較的お値打ち

デメリット:

・汗抜きだけでは受け付けてもらえない

 

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2.工場見学具体的な内容。知られていない6つのポイント

工房見学

工房見学は、まずミーティングルームのような所に通してもらい、全体の流れについて説明を受けます。

そして、工房の方に付いていき(届いた和服着物が移動する流れとはバラバラですが)各部署をみていきます。

最初は商品の発送作業エリアで、検針機(けんしんき→和服着物に針が残っていないか確認する機械)と配送別棚を見学しました。

その後、着物入荷作業エリア、事務作業エリア、検品作業エリア、カビ識別エリア、そして悉皆(しっかい→お手入れ全般の事)作業エリアを見学してまわりました。

印象としては、かなり広いなと感じました。

こちらはかなり取り扱い数が多いようで、たくさんの和服着物が見受けられました。

また、人の手間がかなり掛かっているのを感じました。

流れ作業的なイメージをもっていたので驚きました。

古い道具と新しい機械をMIXしてやっている感じです。

違和感も(良い意味で)感じました。

工房の受け付けの周辺は昼間でも結構暗い印象でした。

逆に、奥の工房は電気が明るく付いている印象です。

工房の方というと、余り話しをしたがらない寡黙なイメージでしたが、職人さん自らかなり積極的に説明をしてくださいました。

見学途中に通るたびに周りの方が挨拶をしてくれたのも印象に残りました。

あまり知られていない6つのポイント

工房を覗かせてもらって始めて知った事があります。

↓↓↓

システムautomatic(オートマティック)

まずかなりオートメーション化されておりました。

たくさんの和服着物をさばかないといけないからだそうで、機械が出来ることは任せるようです。

 

ガード加工(汚れ防止加工)の詳細

(和衣庵様より引用:https://kimonowagoromoan.com/blog/detail/20210415155113/

実は一度ガード加工をつけてしまったら半永久的に取れないそうです。

工房の方は風合は一切変わらないとおっしゃってましたが、(個人的に)多少の変化は感じるかと思います。

 

汗抜き(あせぬき)の詳細

(きものFUN様より引用:https://kimono-fun.com/column_dxarai/

どのようにやるのか不思議でしたが、和服着物をハンガーで釣り上げて特殊な溶剤をスプレーでかけるそうです。

その後、汗が浮き出てくるとの事。

 

カビ発見(ブラックライト)

カビの判別にブラックライトが使われるようです。

暗い個室の中でブラックライトを和服着物に当て、カビを白っぽく浮かび上がらせ判断するとのこと。

 

丸洗い(まるあらい)の詳細

(和遊館丸豊様より引用:https://wayukanmarutoyo.com/cleaning-size/

専用の洗濯機で丸洗いするだけかと思っていたら、丸洗いする前に衿、袖口などの部分洗いを手作業でやっておりました。

ここで大きな汚れは取りきるそうです。

 

丸洗いの洗剤

(大きな専用の洗濯機があり)当然和服着物を洗うごとに中の洗剤を新しくしていると思っていたら、「他の工房では使いまわしがあるよ」と教えてくれました。その分お手入れ価格を抑えられるからだそうです。

 

※もし、近くにお手入れをお願いする場所がない場合、全国宅配のお手入れ屋さんもご利用下さい。

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3.ポイント

・一例として工房見学をしてきたのでご紹介しました

・業務内容として、染み抜き・汚れ修正・カビ・ガード加工、丸洗い、洗い張りをしていました

・あまり知られていないポイントとして、システムがオートマチック。ガード加工は一度かけたら取れない。汗抜きはスプレーで汚れ浮かす、カビの判別にブラックライトを使う。丸洗いは意外と人の手間がかかる。洗剤は工房によっては使い回すでした。

 

以上、男の和服着物のプロ悉皆でした。

洋服のクリーニングでも同じ事が言えますが、クリーニングの業務内容については余りよく知られていません。

ご自身の大切な着物がどういう方法でお手入れされているか、ある程度は知っておきましょう。

文化
工房は、中々入る事が出来ないですもんね

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